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溝上幾久子 おおかみたちのえものがたりⅡ
絵本『オオカミ県』原画展

絵本「オオカミ県」著者 :多和田葉子(文)・溝上幾久子(絵)定価2,000円+税/A4変 論創社 2021年4月上旬刊行予定




2021年3/20(土)-4/4(日)13:00~19:00/月・火曜休み
KUNITACHI Art Center 2021に参加します。





    “架空の地”オオカミ県”に住む”俺”のモノローグで綴られるこの物語は、 2019年秋に「えものがたり」としてテキストとともに版画が展示されたのち、作者の多和田葉子氏により加筆され、 絵本の世界へ向かって走りだしました。 弱いものはより排除されていくかのような都市部中心社会で、弱者として追いつめられるオオカミ県のものたち…。 その叫びが、少しでも多くの読者のもとへ届きますように。 ー 溝上幾久子


      「戯画としての小さな石」(gallery Hasu no hana 2019,11月/展覧会のためのテキスト)

      多和田葉子さんに書き下ろしていただいたものがたりからイメージする絵を制作しているうちに、わたしはふと、これは「風刺画」なのかもしれないという意識を持つようになりました。芸術的な絵画作品というものではなく、社会のながれのなかで、理不尽なシステムや一方的な方向へ流れようとする力に抗う、石つぶてのごとく描かれる無骨な戯画です。過去をひもとけば、歴史の曲がり角には、大きな不穏な流れに対して石を投げつづけた、権威とは無縁の名も無き表現者たちが必ずいます。その石はとても小さなものですが、いま振り返ってそのような作品たちをみると、彼らの怒りと哀しみのまなざしにゆさぶられます。ものがたりと、そのことばに刺激されて生まれたこれらの戯画から、なにかしらの小さな石を、胸に持ち帰っていただけたらと思います。
             

    2006年日経新聞にて一年間連載された多和田葉子氏のエッセイ(2007年「溶ける街透ける路」として日本経済新聞出版より出版)に溝上が挿画担当となったことが二人の出会いです。 小説家多和田葉子氏が書き下ろした”ものがたり”『オオカミ県』をベースに、版画家溝上幾久子が”え”を興したこの作品は、2019年に最初のテキストと絵による「おおかみたちのえのもがたり」展にて発表されました。(gallery Hasu no hana 2019,11月) 溝上が、この”ものがたり”を手にしたのは2015年、5年強の歳月経て、さらに加筆、熟成されて、この度「絵本」というかたちになりました。多和田氏は国立市で育ち、溝上幾久子はかつて国立にあった創形美術学校にて版画を学びました。この小さな町にゆかりのある二人の作品を、Kunitachi Art Center -この街で生活をしながら制作をする作家や、彼らが制作する作品との出会いを生み出すためのイベント-にて発表できることをとても嬉しく思います。

    WATERMARK arts & crafts 清水


    ※会期中絵本を予約販売いたします。本展だけの予約特典(版画の栞または版画カード付き)をご用意しています。ご注文はこちら→https://watermarkart.base.shop


    溝上幾久子 MIZOKAMI Ikuko c.v.
    創形美術学校版画科卒、武蔵野美術大学造形学部卒
    銅版画の作品を中心に制作発表しつづけている。映像制作ユニットstudio mangosteen所属 ​​

    おもな個展:
    「はちみつどろぼう」馬喰町 ART+EAT(2008)、「キャラメリゼの夜」展 WATER MARK arts and crafts (2015)
    「おおかみたちのえものがたり」展 hasu no hana(2019)  https://www.hasunohana.net/ookami

    おもな企画:
    「足りない活字のためのことば」展 12 名の詩人たちと釡石の活字と版画の展示 馬喰町 ART+EAT(2013) かだって釜石(​2014)
    ハンズボン映像展 studio mangosteen主催による短編映像上映会 EARTH+gallery、池袋シネマロサ、小坪漁港特設会場
    出版の仕事:
    新聞連載・単行本『溶ける街 透ける道』多和田葉子(日経新聞社)、装画装丁デザイン『声 千年先に届くほどに』姜信子(ぷねうま社)
    雑誌:「現代詩手帖」「美術手帖」「文学界」「すばる」他
    刊行物:デジタル絵本『ピュートルストーリー』三修社、『パントスストーリー』講談社(著者:studio mangosteen)
    studio mangosteenとして制作したアニメーション作品は、ベルリン国際映画祭コンペティションノミネートをはじめ世界各国の映画祭に参加 ​